この講義はオーケストラの中でされたものですが、
ピアノも歌もみんな同じです。

バジル先生の音楽講座というのを見つけました。

少し長いのですが、
これからの長い音楽との関わりに
何かヒントになるかもしれません。

この受講生は留学という夢を持っています。

でも、そんな特別な目標じゃなくても、
目標が教則本を一冊終わらせることだったり、
次の発表会で弾いたり歌ったりする曲に
照準を合わせることでもいいと思います。

そして
音楽だけじゃなくて、

こんな風に段階を追って考える、
様々な視点から今の自分を見て、
今日の、今の一歩を踏み出すことは、

限られた時間の中で生きていく上で、
とてもメリットの多い方法だと思います。

時間のあるときに読んでみてください

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ある日、音大生だけを対象とした講座でのこと。


その講座での最後のレッスンは、ある受講生の

「4年生になって、これから先のことがいろいろ決まっていなくてふわふわしていて、
練習をどう組み立てたり、管理したりしたらいいか分からない。
どんな練習がベストなんですか?」


という相談から導かれたものになりました。その内容が興味深かったので、
一語一句その通りではありませんが、なるべく思い出して書き起こしてみます。




【バジル】

いまこの場に集まっている音大生のみんなと一緒に考えていきたいのだけれど、
どんな練習をするか、という問いは

「きょう、いま、自分は何がしたいかな?」
という自分への問いかけから始まると思うんだ。

それはつまり、自分の人生で何をしたいか、
与えられた人生で何をしていきたいか、ということなんだと思う。


自分が人生で何をしたいかということと、楽器演奏が結びついていれば、
「いま何をしたいか?」という問いに対して、
「楽器を演奏したい」という答えが自分の中から出てくるかもしれない。


そしたら、練習をすればいい。

それで、いま何をしたいか?という問いに答えるには、
もしかしたらさらに別の問いが必要かもしれない。


「きょう何がしたいかな?」
「明日何がしたいかな?」
「今週何がしたいかな?」
「今月何がしたいかな?」
「今年何がしたいかな?」
「これから3年で何したい?」
「これから5年で何したい?」
「これから10年で何したい?」
「自分の一生の間に何がしたい?」

これらに答えて行くうちに出てくる「いま何がしたい?」と、
いまとりあえず「何がしたい?」から出てくるものとは、
もしかしたら異なっていることもあるかもしれない。


もし異なっていたとしたら、それはそれで構わない。
そのときどっちを取りたいかを選べばいいから。


「いま」から「一生」に向かって問いかけてみるのと、
「一生」から「いま」に向かって問いかけてみるのを、
両方やってみるようにするのも、面白いと思う。



それでは尋ねてみるけれど、君は一生の間に何がしたいの?



【受講生】

留学しようかな、と思っています。



【バジル】

どこに留学したいの?
留学して、何がしたいの?



【受講生】

ヨーロッパに留学したいです。
そのあと、オーケストラで演奏したいです。



【バジル】

どこの国になら、オーケストラのオーディション受けに行く?



【受講生】

海外なら、どこでも行きます。



【バジル】

最近、中東のオーケストラがどんどん設立されているし、
あとブラジルも待遇が良くなっていっているけれど、
そういうところも行く?




【受講生】

行きます。海外なら、どこでもチャレンジします。




【バジル】

日本ではないの?




【受講生】

海外で生活して、海外でチャレンジしたいんです。



【バジル】

(なるほど、海外に出て異なる文化に触れて、
自分を変えることこそが
演奏家というステータス以上に欲していることなのかもしれないな心の声)


明確で、いいね!

そのチャレンジを達成するために、自分にどれぐらいの時間的猶予を与える?



【受講生】

35歳までに、実現していたいです。いま21歳です。



【バジル】

あと14年!それはきっと実現できるね!


ただし、そこまで自分の夢に時間を与える覚悟を持てるひとも少ないから、
その決意を覚えておいてね。ひとにつべこべ言われても、


「自分は自分に35歳まで時間を与えるんだ。」という決意
を貫こうね。これは実は根性が要るからね。


では、理想的にはどこの国のプレイヤーになりたい?



【受講生】

ヨーロッパですかね….



【バジル】

OK, じゃあたとえばスペインかフランスだったら?



【受講生】

フランス。



【バジル】

フランスかドイツかだったら?



【受講生】

ドイツです。ドイツがいちばんの目標



【バジル】

それを最初に言わなかったってことがなかなか興味深いね!

じゃあ、ドイツだったら東がいいか西がいいか、とかある?



【受講生】

こだわりません。



【バジル】

じゃあ、いまはとりあえず、
南西ドイツ交響放送管弦楽団のチューバ奏者になる、ってことにしておこう。


不満ある?(笑)



【受講生】

ないです(笑)



【バジル】

じゃあ、きょう、いま、この瞬間、
何をどのように演奏するか、問いかけてみよう。


ただし、きょう、いま、ここの自分は、目指す理想像につながる自分。
つまり、南西ドイツ交響放送管弦楽団の団員の自分。


南西ドイツ交響放送管弦楽団員の「オレ」が、いま、ここで、
このひとたちのために、何の音をどのように奏でたいか、問いかけてみよう。


それで、最初に浮かんできた音を、鳴らしてみて。



【受講生】

( Fの音を静かに一音鳴らす)



【バジル】

いいね!

どうだった?



【受講生】

ウォーミングアップしてないのに、なんだか手応えがあって、いい感じで鳴らせました。



【バジル】

そう!

それがきょう、ぼくが提案する「練習のやり方」だね。


《1》どんな人生を送りたいか、人生で何をしたいか、当面の目標は何か。
そういう大きな望みを自分に問いかけて、


《2》それとつながった「いま」において「何をどのように奏でたいか」を自分に問いかけて

《3》浮かんできたものを実行に移してみる


この作業を、毎回毎回、奏でる一音一音に対してしつこくやってみる。

是非試してみてね!



【受講生】

やってみます。ありがとうございました。

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