音楽も、文学も、絵画も、映画も、手芸も、・・
自己表現には様々な手段があります。

私は音楽と文章を書く機会が多いので、
表現するということの中に、このふたつの共通点を見出します。

どちらも、まずトレーニングが必要だということです。
ピアノが技術、理論を元に、日々の練習だとしたら、
文章も書く技術、書き方のノウハウがあって、
そして書く練習だと思います。

ただ好き勝手に書かせていても上達しないし、
本さえ大量に読んでいれば、書けるようになるものでも
ないと思います。
もちろん大量のインプットがあってのアウトプットですが、
ピアノも聴いてるだけでは弾けるようにならないのと同じこと。
かと言って、聴いてない子は、先で表現力がとぼしくなることも
大いにあります。

でもどちらも、トレーニング次第で、どんどん伸びるのは
間違いのないことです。


なっちゃんは国語と算数を中心に、ピアノと半々でレッスンしていますが、
特に国語では、文章力を伸ばしていくお勉強をしています。
一年生の今から始めるのはとてもいい時期だと思います。

最初は、作文って何を書けばいいの?からスタートしました。
➀したこと
②見たこと
③聞いたこと
④不思議に思ったこと
⑤みんなに知らせたいこと

・・こんなことの中から選びます。

で、最初にこれだけ伝えて、自由に書いてもらいました。

「=シンガポールにいったとき=

ゴールデンウィークにいったとき、ものすごくあつかったです。
それで水をたくさんのみました。
それでホテルに行ったときは、ホテルがきれいでした。
シンガポールには、ユニバがあって、のりものにのったときは、
どきどきしました。
たくさんのおもいでができました。」


これを元に、いくつかの質問を作って、
なっちゃんに書いて来てもらいました。

以下は、質問と応えです。
なっちゃんはホントにコツコツよくがんばります。

➀シンガポールはどんなところでしたか?
とかいだって、たんぼがなかったよ。

②どこへいきましたか?
マリーナベイサンズ

③そこでどんなことをしましたか?
たかいところから、けしきをみた。

④何を見ましたか?
ふねの形のホテルをみた。

⑤おもしろかったこと、楽しかったことは何ですか?
けしきを見たのが楽しかった。

⑥どうしておもしろかったの?
ものがちっちゃく見えた。

⑦かなしかったことや、残念だったことはありますか?
ことばがつうじなかったこと。

⑧ふしぎに思ったことはありますか?
かおはにてるのに、なんでことばがつうじないの?

⑨日本とちがうところはどこですか?
おこめがパサパサだった。

⑩みんなに知らせたいことを書いてください。
しんせつだった。

⑪どんなふうにしんせつだった?
にほんごでしゃべってくれた。

さて、この質問を元に書き直したのが
次の作文です。なっちゃんがひとりで書きました。

「シンガポールはとかいで、たんぼがなかった。
マリーナベイサンズは、ふねのかたちのホテルです。
そのホテルは、たかいところにいって、けしきがみえます。
それでものがちっちゃくみえて、でもことばがつうじなくて
いやだった。なんでちがうことばかわからない。
おこめがパサパサでおいしかった。おわり」


(*´∀`*)ね、最初のと比べると、少し文章に躍動感が出てきています。
それに、シンガポールの様子が少し見えてきました。

さあ、それではここから、今度は私が
インタビューしながら、一緒に仕上げたものです。

楽しい、悲しい、うれしい、こわい、くやしい、などの
喜怒哀楽の表現を、子どもはそのまま書きますが、
違う場面に置き換えたり、別の角度から見て表現すると、
(読み手に想像させるのが目的)
グッと力強く印象深い作文に変わります。


「シンガポールにいって、でんしゃにのったよ。
なんかいものったよ。
「じもとの人みたい。」ってママがいったよ。

マリーナベイサンズっていう、
ふねのかたちのホテルにいったよ。
いちばん上からけしきを見たら、人も車も
たてものも、小さく見えたよ。

ユニバーサルにいったとき、わたしのぼうしがとんだ。
がい人にふまれたよ。ことばがわからなくていやだった。
ゆっくりはなしてくれたら、わたしでもわかったかもしれないのに。

チキンをたべたよ。いままでたべたことがないくらい
おいしかったよ。おこめはパラパラしてておいしかったよ。
でもママはきらいなんだって。

シンガポールはとかいだった。
だって、田んぼがなかったんだもん。」


話し言葉の中に、おもしろい表現がたくさんあるのですが、
子どもたちは気づきにくいのです。
そこを上手く拾い出してあげると、ホントに言いたかったことが
見えてきます。
子どもなりの自由な表現をカットしないこと、
あのね・・って楽しそうに話してることの中に
たくさんのいい表現が隠れています。
そこを見つけてあげること、大人から見て変だと思うようなことも
決して否定しないで興味、関心を示すこと。
でも、日本語の間違いは直すこと。

そして何より、ひとつの物事を、いろんな方面(角度)から
見る訓練をしていくこと、
その途中経過を、柔軟な姿勢を持って受け止めてあげることが
音楽でも文章でも、表現力を養う上で大切なことだと考えています。

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