同じ自閉症と診断された子どもたちでも、
ひとりひとり違います。
例えばダウン症の子どもが、似たような雰囲気や
共通した特性を持っているのに比べ、自閉症は本当に十人十色です。

でもやはり自閉の特徴として、自分の想いや思考したことなどを
うまく周囲に伝え、適切なコミュニケーションをとるという能力は
個人差はあっても全体に低く感じられます。

自閉症の子どもたちが最も苦手な人間関係。
生涯を通じて支援の必要な子どもであった場合には、なおさらのこと。
「伝える技術」「受け取る素直さ」「心の柔軟さ」などを
少しでも身につけてもらうためには、どうしたら良いのでしょう。



しいちゃんのお母さんは、信頼のできる友達がいて、
学校へ楽しみに行けるようになってほしい、という
願いを持っていらっしゃいます。
しいちゃんは歌が好きで、人なつっこく明るく、
言葉もしっかりしていて、大人っぽい表現をします。

でもできないことがあってイライラすると大爆発!
攻撃的な態度になり、人や物にあたってしまいます。
私とのレッスンは、ほとんど毎回大騒ぎ?になります。わははは
思い通りにならないと泣く、物を投げる、乱暴な言葉使いになる。。
え~え~それがどうしたっ負けとれるかいっ

あはは。

ダメなことも、どうせゆってもわからないからと
そのままにしていたのでは、ピアノは弾けるようにはなりません。
しいちゃんタイプの、ある意味正直もんと信頼関係を築いていくためには、
私も時にはストレートであることが必要だと思っています。

でも、そうできるのは、お母さんが私にレッスン中はお任せくださり、
お許しくださり、上手く行かないことが多くても、
しいちゃん以上に、私を見守ってくださっているからできるのです。
本当にありがたく思っています。





しいちゃんにはノートを一冊作っています。
妹がピアノを習っている間、絵を描いたり、お母さんや私との
約束が守れなかったら、ノートに書きます。

P1060388

これはある日の記録です。
「しっかり白と黒の気持ちを覚える。」と書いてあります。

この表現は私が教えたものではなく、
私との約束が守れなかった自分を認識し、
それを黒に例え、ちゃんと守ろうとする自分を白に例えています。

独特の表現の仕方をするしいちゃんですが、
わかっていて止められない自分との葛藤が伝わってきます。

P1060391

いらいらして人や物に攻撃的になっている時の自分は、
白の感情が黒になっていること。
大切なことは、黒を白に変えて行くことなんだ。

しいちゃんは全部自分でわかっているのだと、
この記録を見て思いました。
でもどうしようもないのですね。
怒りや悲しみを抑えられないのですね。
うれしい時も喜びも同じです。
本音と建前の切り替えスイッチが上手く働かないのです。

なんて愛しくて切ないのでしょう。

本人にしかわからない・・その本人にもよくわからない
苦しみがあるのでしょうね。



さて、今まで長くいっしょに過ごして来た子どもを見ていると、
必ず良い方向へどうにかなっていく・・
どうにかなる。どうにかする。です。
一見刹那的に聞こえる言葉ですが、問題解決をあせってもつかんでも
今すぐにはどうにもなりません。
でも周囲が誠意を持ってその子が必要とすることに取り組み、
山の時は喜び、谷底の時もあきらめず取り組んでいけば、
どの子もみんなそれなりに落ちついてきます。

私の根底にはこの信念があります。

私はたかがピアノの先生ですが、
ピアノが弾けるようになる・・ということは、
「集中力がついている」「相手の話が聞ける」
「2つ以上の指示で動ける」「マナーが身についている」・・などの目安になり、
目標設定が広くわかりやすく、なんといっても自信になります。
それは、褒めてもらえる機会を増やしていくことにつながります。



ひとりひとり違う自閉症。
解熱剤を飲ませるような即効的なやり方などどこにもなく、
その子に合った方法で取り組んでいくこと。
その方法を見つけること。
それでやっとスタートラインに立てます。
お互い、気のなが~いお付き合いになります。

楽しみだー
きっとよくなる!絶対よくなる!



私は論理的な思考をすることができるしいちゃんに、
できる限り「何故?」と問いかけ、「どうして?」と自分を分析できるように
なっていってほしいと思いました。
広い意味での国語力です。

そして先を予想する力。これは数学的力です。

最後にピアノ(音楽)
小さな山をひとつずつ登って、難しいことにもあきらめずに挑戦する力。


この3つの目標を立て、スタートしました。


そして第一回目。
1と3に取り組みましたが想定内の・・それを上回る大騒ぎにっ
レッスン時間は大幅にオーバーし、その日はとりあえず
どうにかこうにかさよならまでこぎつけたのでした。


では③で、実際の内容をお伝えしていきたいと思います。



しいちゃん作、「海」と「ワインとらっきょとハンバーガー」
あはは。らっきょて。
小さなノートにサラサラと色鉛筆で描いてくれました。
私はしいちゃんの絵が好きです。
いつか大作を描いてほしいと思っています。

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